しづ心なくインターネット

おポエム申し上げます

2019年末から読んだ本で心に残ってて感想書けるやつ

4ヶ月くらい週末ごとに東京←→大阪シャトルランやってて、やっと落ち着いたから海外でも行くかと思ったらこれです。サイテー。
最初は料理とか軽い運動とか頑張ってたんですけど、今は一周して”無”みたいな状態。"無"に飽きることあるんかな。ないかも。
あまりにも生産性がない日々で、食欲とかも薄くなってきたので、久しぶりにブログでも書いて脳を活性化させようと思います。そういう目論見の元、昨年末あたりから読んだ本のうち感想書けそうなやつをpickしました。

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・聖なるズー
著者が動物性愛者・ズーのコミュニティに関わって聞き取った内容をベースとしたノンフィクション。
ズーというのは、動物をパートナーとして愛し、ときには性行為を含めて好意を抱く人たちのこと。性的なスキンシップをしたいと感じる人とそうでない人がいて、したい側の人でも受動を希望する人、能動を希望する人がいて、といろいろな事例が出てくる。
動物との性愛を耐えがたい禁忌とするのも、動物が人間を性的に誘っているとみなして、それに応えてやらなければと判断するのも両方人間で、こんなフワフワして揺らぎやすい「基準」とかいうものを軸に私たちは生きているんだ……と思うとかなりドキドキした。

聖なるズー

聖なるズー

 

ピエタとトランジ
現代日本を舞台にした女バディの探偵もの短編集だけど、ミステリではない。収録作どれも、おもちゃ箱ひっくり返してデザートとバイオレンスでぐちゃぐちゃにしたよ♪ みたいな話。探偵の相棒の条件は絶対死なないことだな、マジで。
女子高生時代から始まって老後までいくので、周りの環境に影響されて変化する関係性と、その軸で変化しないものの対比が好きな人はぜひ読んでほしい。時間軸的に一番最初の話と最後の話がリプライズになっていて、関係性オタクみんな「くぅ~w」ってなるやつ。ほかにも、バディものが好きな人、ロードムービー好きな人、BBCシャーロックが好きな人にはアタるのでは。
感想を探していたら、まったく心にヒットしなかった人のブログが出てきて、何一つ面白くなかったって挙げていた理由が全部私にハマった理由だったので、人間はいろいろだなってウケた。
尊敬できる友人への感情、ラブとか友情とか嫉妬とか自分でもよくわかんなくなるけど、私は友人たちにとってのピエタをやれるかなどうかな、と思った。

ピエタとトランジ <完全版>

ピエタとトランジ <完全版>

  • 作者:藤野 可織
  • 発売日: 2020/03/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

・房思琪(ファン・スーチー)の初恋の楽園
立場ある成人男性から未成年の女性・房思琪への年単位で続く性的な暴行と、一連の出来事によって房思琪の感情が壊れるまでの話。房思琪は自分に施される行為の源・それによって発生した気持ちを愛だと思うことでバランスを取ろうとするけど、お姉さん的な女性が家庭内暴力を受けているのを知る・幼少期から一緒に育った友人から拒絶されるなどによって、現実と心が乖離してしまう。
私が読むことで、房思琪が痛めつけられていく。彼女を消費していることが辛くて、数日に分けて読んだ。繊細な文体と比喩の詩的な美しさでストーリのグロテスクさが際立つ。感情をどこに置いて読めばいいのかわからない。
作中には、自分の行いが社会的な悪事だと認識しながら軽やかにそのラインを越える人間が出てくる。彼らの行動には苦しみや葛藤がない。そのことに憤慨しながら、でも私は配慮が欠けているタイプなので、何の気なしで発言したのに他人を傷つけてしまったことはままあるとか、この人にならこういう態度を取っていいって舐めてかかったこととか、思い出して血の気が引いていった。今作は房思琪の視点以外からの描写がほとんどで、そのことになおさら、生きているだけで人を踏みにじることがあるという現実を強く突きつけられる。
「もし読み終わって、かすかな希望を感じられたら、それはあなたの読み違いだと思うので、もう一度読み返したほうが良いでしょう」と作者あとがきには記されている。メンタルが弱っているときには読まないほうがいい。

房思琪(ファン・スーチー)の初恋の楽園

房思琪(ファン・スーチー)の初恋の楽園

  • 作者:林奕含
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

スクラム 仕事が4倍速くなる"世界標準"のチーム戦術
仕組みによってチームの課題が解決されていくというちょっと聞き夢のようなフレームワークスクラム。いろいろな会社に導入した事例が紹介されていて、お仕事物語としてもアツい。
プロジェクトを始める前に予測した通りスケジュールが進むはずがないという考えを前提に、じゃあ期待値とのブレを小さくできるようやっていきましょう、という考え方なんですが、ブレの原因は状況の変化がほとんどなので、完全に差をなくすことは難しい。でもスーパースピードで経験学習を繰り返して変化に素早く対応しましょうっていうの、希望があっていい。やりかたを導入するからうまくいくんじゃなくて、うまくいかせるためにどう回すか、回すためには既存の組織や考え方をぶっ壊す必要があるし、そのための労力がめちゃ大きそうなんですが。
後輩育成とか仕事の進め方とかで、ハイ無理もうおわりで~すピッピロピーみたいな場面に直面することが増えて、感情ってなんであるんだろう……人が変わるには暴力か死しかない……みたいな気持ちになりがちだったんですけど、どうにかこのあたりの学びを打開策としたい。
プロのスクラム職人は、メンバーが自分はスクラムをやっていると認識しないままスクラムチームを運営することができるの、ヤバだなと思いました。私もなりたいわヤバに。

金木犀とメテオラ
北海道の中高一貫女子校(寮併設)を舞台として描かれる、タイプの異なる優等生ふたりの焦燥やもがき。
ザ・トゥルーマンショーって映画は、一人の男性の人生をテレビプログラムとして放映する話で、周りの人間は全員かきわりなんですけど、たまにそれを疑うことがある。私以外みんな台本あって暮らしてるんじゃない? という中二病的なやつ。自分以外の人にもバックグラウンド処理があるということを忘れてしまう。
それが中高生のころなんかなおさらで、毎日ヒリヒリしていたあの頃を思い出した。あの子みたいになりたいと思いながら、同じぐらい嫌いだった彼女も背景を持っていることを、高校の間はさっぱり理解していなかった気がする。そのわかっていなさすらこの本は許してくれる。日々愚かな自分の中の、それでももうかさぶたみたいになった部分を擦るように読みました。
北海道では金木犀は自生しないし、流星は人間の手で発生させられない。ずっと距離を取り続ける主人公たちが、わかり合わないままに一瞬交わったことを、北海道の金木犀や流星と並んで奇跡と呼ぶんだと思う。
表紙のイラスト同様、軽やかで女の子たちが走っていくみたいな文体が心地いい。

金木犀とメテオラ

金木犀とメテオラ

  • 作者:安壇 美緒
  • 発売日: 2020/02/26
  • メディア: 単行本
 

・ダンスダンスダンスール
16巻の、夏姫ちゃんのコンテ、笑顔のコマで泣いちゃった。知られたら死ぬって思うような感情でも、どうにか表現しないと生きていかれない生き物が人間なんだろうな。気持ちを託せる手段を持っているのは素晴らしいことだ。

 ・ 君のことが大大大大大好きな100人の彼女
ハーレムものなんですがどのヒロインともオープンに交際しているため、主人公には1巻時点で3人彼女がいる。最高。
主人公が全彼女に対して誠実であろうとするし、彼女同士も認め合っているので心が穏やかに読めています。
キスシーンでは彼女全員とキスするんですけど、人数が増えたらキスシーンだけでめちゃくちゃ尺を取るのでは……ということが気になっています。

以上、7冊です。それでは、楽天お買いものマラソンで買うものの選定に戻ります。さようなら。
お題「#おうち時間