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しづ心なくインターネット

おポエム申し上げます

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"勝者と敗者" 観劇メモ

舞台版ハイキュー1作目を見たときの高揚が今でも忘れられない。
アンケートは表面だけで足りなくて裏面にもびっしり書いて出したし、アイアから渋谷駅へ下っていく道を元気よく歩きながら譲渡を探しまくった(歩きスマホはやめましょう)。
2.5次元の新しい幕開けを見た! と大興奮した、そんなハイステももう4作目。今回もなんとかチケットのご用意に成功して観にいきました。

回転する機構を備えた八百屋舞台は健在! 照明を仕込んだ2代目になったとのこと。前回を最後になくなってしまうというのを見て残念だったのですが、外観はほぼそのままにバージョンアップしていたので嬉しい。
TDC未訪なので梅芸で見た感想ですが、すこんと天井の高いアイアに映えるセットだったろうなと思います。
特に上階から見下ろすと舞台上部が視界を遮って圧迫感があったので、2階前列よりは1階後列で見上げるほうが好みの視界になりそう。背景の映像パネルも見下ろしだと、照明でやや白飛びします。
今回はせりあがる足場やフライングで空間を縦に使う演出がたくさんあり、視覚の情報量が多くて、いい意味でどこを見たらいいのかわからなくなった。ウォーリーを探せを見ているような気持ちになりました。目が最低4つぐらいほしい。
青城のメンバーそれぞれが白い布を手に出てきて、それを小さいスクリーンに見立ててバレーボールを投影するの、立ち位置や投影がちょっとでもずれたら目も当てられなくなってしまう演出に挑んでいくのが最高。
そして幕代わりのスクリーンに大写しになる遊馬及川さん……私も梅芸大ホールの舞台いっぱいに顔が写ったことがある人になりたい! サマージャンボ当たったらやります。 

照明がかっこいい! 1作目見たとき知人にそういう話をしたら、照明作り業界では超有名なスタッフさんだと教えてもらいました。
今回は舞台自体、床も壁面も一体になってびかびかに光るのでMステじゃん! って思った。試合中、ボールが光で表現されてレーザービームみたいに床を横切っていくのがきれいだった。

ハイステ、歌わないけどミュージカルっぽいと前から思ってて、リプライズ曲が多いからだというのを思いつきました。
調を変えたり、これまではメロディだけだったエンディングに歌詞がついたりと、同じ曲がアレンジされていろいろなシーンで流れるの、脚本自体も印象的なシーンを繰り返す構成なので相性がいい。
もともと和田さんの曲が好きで、和田さんが音楽担当なら外れないでしょ! と思って1作目のチケットを取ったので(見終わった後のアンケートもサントラ出してくださいって3回ぐらい書いた)、今回も大満足。
青城は管弦メインで優位チームの余裕めいた軽やか華やかな編曲なのに対して、烏野はパーカスと低音ゴリゴリの荒々しいアレンジで、ダンスもバレエ風・群舞のように揃った振りつけの青城、ジャズダンス・ヒップホップやハカを思わせる動きの烏野と、耳・目でも対比がわかりやすいつくりで楽しかったです。
舞台って総合芸術なんだなと、ハイステを見ると毎回改めて思います。

気になったのは説明的な演出が増えたことで、セリフやト書きが背景に投影されたり、フライングなどでカンパニー側が伝えたいメッセージがわかりやすい反面、もう少し観客の想像の余白があってもよいのではないかなというのが個人的な感想です。「その夜」って文字で説明されなくても照明が暗めになって虫の声が聞こえれば夜だなってわかるし。
コメディ要素と回想も多くて、試合の流れに集中しきれず……ギャグで気持ちが緩みすぎてしまって、感情の動きにうまく乗れなかった。
とはいえ、見る前はほぼ3時間!? 3章立て!? と尻へのダメージを思ってぞっとしていたんですが、気がついたらカーテンコールで、テンポのよい展開ありがとうという思いです。
なにより実際の試合と同じ3セットを、一般的な上演構成の2幕に凝縮しないで見せるというのに意味があったのだな……
でもやっぱり平日に22時過ぎて終わるのは、家遠い人はおつらいでしょうね。実際本編終了時点で退席していった人多かった。梅芸、駅からちょっと距離あるし……

「セッターへようこそ」が今回イチで好きなシーンです。
オーケストラとバレーボールの試合というまったく異なる分野のものが、あのシーンで融合して、なんというか宇宙を感じた……
烏野ではみんなのためにバレーする、バレーを手段にするのが正道で、自分が好きなバレーをしたいと思うこと、目的化するのは邪道寄り。
それに自覚的なのが覚醒前月島、無自覚なのが今回までの影山だと思うのですが、スガさんと研磨の人のためにバレーをする組がタクトを振って、影山が自分の手でゲームメイクする有機的な喜びに目覚める瞬間が描かれていたの、すごくよかった。
異分子の融合で爆発力が生まれるのをダブルで表現した、とても気持ちのよい話と演出でした。
あと、手をつないで重心を外にかけながらゆっくり回るシーン(上手い表現が思いつかない……)が好き。
初演・再演だと日向と影山が町内会との試合でやってたり、今回だと影山と及川がやったのが印象に残ったのですが、影山及川ペアは及川が影山より優位で振り回すような感じ、日向影山ペアは絶対的な信頼を感じられる安定した動き。
いろいろな組み合わせのペアが同じ動作をすることで、それぞれの違いが浮き上がって見える、面白い演出だと思いました。これもリプライズ。
どちらかが手を離したら転ぶような危ういモーションを、舞台という絶対にやり直しできない場所でやること、めちゃくちゃ緊張感があるし、見るといつも涙が出る。

体を上手に扱う人たちだな~と思うのは木村達成さんと音駒ペア。
永田崇人さんは立ち方から猫背で役柄そのもの、「演じている」「段取り」感が伺えない。近藤頌利さんはジャンプのときの高さと滞空時間の長さ、背筋のしなりが美しくて、音駒ふたりのシーンは、他2チームより半分以下の人数なのに存在感がすごい。
シンクロ転回や、ただ動き出すだけでも妙にゆらっ、ぬめっとした動物っぽい動き、コンテンポラリーダンス見に来たんだっけ? という気持ちにさせられる。
セッターの働きを指揮者にたとえて各校セッターが指揮をするマイムがあり、木村さんがあまりに体に馴染んだ動きをされていて(音楽未経験者の感想です)、体をコントロールすることとリズム感にものすごく長けた方なんだろうなと思った。そのあとパンフの「誰にも負けない! というものは?」という質問に「運動。できなかったアクションも運動もない」って答えてるの読んで頭がくらっとしました。かっこいいです! かっこいいです!
今回おおっと思ったのは秋沢健太朗さん。感情を観客へ届ける表現がめきめきうまくなっておられるなと思います。再演で初めて拝見したときは、声と迫力でモップが倒れる! というシーンで「演出なのでモップが倒れました」という感じだったのですが、回を重ねるごとに部長らしい説得力が備わっていって、今作の試合が終わって日向を抱え起こすときの「謝るな」の威厳と、そのあと負けた悔しさを抑えて後輩を優しくねぎらう声の落差がとてもよかった。2.5次元の面白いところ、キャストを定点観測することができる部分で、その面白みを感じさせていただいたことに対する感謝のブロマイド購入をした。

今回、初回を見たとき感じた「板の上で漫画をしている」感が薄くなってきたように思いました。
舞台版ハイキューを見たとき、「この人たちは舞台で漫画を再現しようとしている(のでは)」と思って鳥肌が立つほど感動したのでした。原作ベースで舞台をするのではなくて、舞台を原作に近づけていこうとしている結果の止め絵のようなラストシーンだったり、漫画のコマを使ったキャストパレードだったりがとても新鮮だった。
徐々に舞台オリジナルの要素も増えていて、舞台として独立したコンテンツになっていくのかなと思います。ハイステとしても、原作の区切りとしても大きな章がひとつ終わったんだなと感じました。
限りなく2次元に近かったハイステが、4度の舞台を経て3次元へ近づいていく。
次はどういうふうに驚かせてもらえるのか期待しかないし、次回も絶対にチケットをご用意してもらう。

 

www.engeki-haikyu.com