しづ心なくインターネット

おポエム申し上げます

柔道少年観劇メモ

一回寝かせてから投稿しようと思ったら寝かせすぎた。

千秋楽おめでとうございます。最近重めの話ばかり見ていたから、久しぶりに交じりけなく「わーっ楽しかった!」ってABCホールを出ました。
青森弁の響きがなんともチャーミング。青森出身三津谷さんだけ英語混じりの標準語なのが二重で面白かった。
韓国エンタメのストーリーテリングの、無理やりな話運びだなというところを、こまけえことはいいんだよ! で強引に展開するパワーが結構好きなんですが、今回の脚本のそういうところも中屋敷演出のテンポのよさ、スピード感とマッチしててすごく面白かった。韓国版の演出でも見てみたい。


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けっぱれ、語源は気張れ。気を張り続けろなんて残酷だと思う。受け身で畳を叩く音を持続低音として、被さるような「けっぱれ」がミヤザキシュウトへ降り注ぐ。
みんな夢をミヤザキシュウトへ仮託する。後輩たちも先生も家族も。肩に乗せられた期待の分だけ苦しくなって、逃げるみたいに練習をさぼる。
だけど、苦手な絞め技に耐えて首を痛めても、自分でやるって決めたことを最後までやり抜いたミヤザキシュウトは、憑きものが落ちたように笑いながら出てきた。表彰台に立てなくても、好きな人と付き合えなくても人生は続いていく。
諦めなかったら終わりじゃないというフレーズが何度も出てくるとおり、やり通すことを知って、今の自分の身の程を冷静に見ることができたミヤザキシュウトは、大学での再起もあり得るんじゃないかと思えるエンディングでした。

一方のところ、役名=俳優さんのお名前だったことと、これは勝手な話なんですけど、若手俳優とはいつまで若手俳優なのか、肩書から若手が取れるのはどういうときかみたいな話を最近したこともあって、柔道と若手俳優が芝居をすることを重ねながら観てしまった。あまりよろしくない観客ですね。
同年齢でも若手のラベルがつかない俳優との違いとして、夢を売る、アイドル的な要素が大きく組みこまれているのが若手俳優だと思っています。
顔のいい男とチェキが撮れたり握手ができたりすると、次の日すごく元気に動けたりするので(あれなんでですかね?)その距離感の近さがありがたい反面、色恋沙汰で炎上しているのを見ると、歌手とかほかの俳優よりガッカリ度が高いのも確か。職業と顔の良さ以外はふつうの人であろう彼らに過剰な夢を見ているなあと思う。
舞台上で熱量の高い人生を過ごしている若手俳優を見ると、自分が努力しないまま満足感は得られる。自分は2時間ただ座っているだけなのに、チケット代を払うだけでなにかやった気分にもなれる。
舞台と客席の間、1メートルにも満たない空間には、実距離以上の隔たりがあるような気がしていて、がんばれ、望む姿を見せてくれって気軽に投げかけているけど、同じ人間をコンテンツとして消費している自分に時々うすら寒いものを感じます。
感じるだけでやめないんですけど、そういう部分があることに自覚的でいたほうがいいなと思う。

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宮崎さんはどんな役をやってもうっすらご本人の地が見えるところが魅力だなあと思います。ひねたように先生に反抗するところでもかわいげがあるんだなあ。
マイク使ったお芝居しか見たことなくて、もともと声量小さめなのか喉痛めてしまっているのか、はたまた演技プランなのかわからないのですが、だからこそ声を張った「青森体育高校! けっぱれーっ!」がとてもよかった。
サクライさんに一目ぼれしてポワワ~ってなってるところ、かわいいの精かよ……って思った。

荒井さんは数年前にギャグ百連発してた方とは思えないイケメンおにいちゃんでした。
発声がめちゃくちゃよくて、ほぼ最後列にいたのですが語尾までとてもクリアで聞き取りやすかった!

池岡さん、一時顔が死んでたので今回お元気そうで安心しました。
池岡さんのお芝居は、バックグラウンドを想像させるというか、この登場人物はこういう子供時代を過ごしてきたんだろうなというイメージが沸くところがすてきだなと思います。
エネルギーの塊のような役どころというか、韓国映画に絶対いるかわいい犬タイプのキャラクターだ! やったー! って思った。しんみりするシーンでもあくまで明るい演技プランなのが最高。

呼吸をするように笑いを操る男、三津谷さん。これまでシリアスな役どころでしか拝見したことがなかったので、ギャップもあって嘘みたいに面白かった。ミッチェル体操の小気味いい動きに死ぬほど笑った。
笑わせるだけ笑わせておいて、笑いに絶対被せずセリフを始めるところ、テクニカル~~!!間と呼吸が絶妙。銀河鉄道の夜とか朗読してほしい。

桜井さんは一挙一動にきらきらした擬音がつきそうな愛らしさ。アクティブなミナミさんもアライおにいちゃんの妄想上のミナミさんもとてもかわいかった。あんなかわいい子に「おにいちゃん♡」て言われた日にはそれはもう好きになるでしょ……歌がアイドルど真ん中で超よい。

小林さん、やっぱりベテランの方がいると舞台の空気が違います。ミヤザキシュウトに期待かけて悪かったって謝るところで泣いてしまった。


アフタートークのゆるゆるした感じ、BOYS TALKトーク舞台)を思い出してよかった。2を見たんですけど、平野良御大が放送コードギリギリで愉快でした。クリエさんもう一回やりませんか? 

観劇予報 : 『第2弾 BOYS★TALK』佐藤永典・宮下雄也 インタビュー