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しづ心なくインターネット

おポエム申し上げます

はじめての人のためのアルターボーイズ、または新宿faceで行われている魂の救済について

観劇-ABZ

キリスト教の布教のために結成されたボーイバンド、アルターボーイズが、魂の浄化のために世界各地を回ってコンサートを行っているという筋書きのショウ。メンバーはリーダーのマシュー、フェミニンなマーク、不良っぽいルーク、ヒスパニックのフアンとユダヤ人のアブラハムの5人。

 

www.altarboyz.jp

 

もとはNY・オフブロードウェイでスタートしたミュージカルで、各国で翻訳されて公演されています。日本では2009年に初演、以来メンバーチェンジやW・トリプルチームでの公演を繰り返してこの度再再再再演が開幕しました。

ごりごりのヒップホップに甘いバラードにゴスペル、子ども向け番組の挿入歌のようなかわいい曲や、ラテンなダンスナンバーなどが舞台上の生バンドで演奏されるという贅沢仕様。
ヴォーカルも聞かせるソロがあるかと思えば、5人の声が融けるハーモニーあり、ラップありと盛りだくさん。
ハードな舞台なので日程後半になってくると演技部分ではみなさん声が枯れてきていて、それでも歌パートではすばらしいハモりを聞かせてくれます。
ブレイクダンスや(今回のTeam Goldでは結構なお手前のヘッドスピンが披露されます)、バレエっぽい所作の振り、チャーミングなひつじのパペットを使ったものなどダンスの種類もいろいろ。
もともとのステージは簡単な振り付けはあるもののここまでダンサブルではなく、全カウントにばしばし動きが入っている日本版がイレギュラーとのこと。
ターンした瞬間スプリンクラーのように汗が飛び散るほどの熱量で踊るボーイズを、私たちも自分の手を叩き、足を踏み鳴らし、声をあげて応援することができます。思えば応援上演っぽい。
そう思えば演技シーンでは皆さんのお人柄が透けるような仲のいいコミュニケーションを見せてくれて、目がどれだけあっても足りない!
ボーイズもお客さんも全力で駆け抜ける2時間です。

今回の編成は、前回公演の若手チーム(新生Red)から2名を残し、3名の顔ぶれが一新されたTeam Goldと、ほぼオリジナルキャストで初演から続けられているTeam Legacyの2チームです。
若手チームは今まさに自分たちの形をつくっているという感じでした。お客さんとボーイズが対面でかけあいをするのが持ち味のお芝居だから、どれだけ稽古をしっかりやってきていても、本番の舞台に立ってから積みあげをスタートしないといけない部分があるのかなと思います。
ベテランチームはより自由。それは長年の経験に裏打ちされたものが大きいと思います。前回は客席降りあり、オリジナルコーレスあり、アドリブも多くてまさにやりたい放題って感じだった。
今回が初めてのALTAR BOYZですという方であれば、Goldのほうがとっつきやすいと思います。

会場で当日券が出ている日もあるようです。あと立ち見だったらイープラでまだ出てる。新宿faceの座席は座面のかったいパイプ椅子なので、立って見るほうが楽かもしれない。
大箱での合同公演も予定されているものの、一度は新宿faceでの公演を体験するのを心からおすすめします。
ライブハウスなので舞台との距離が近く、熱気が直に伝わってきて、メドレーでスタンディングする頃には見る側ももう汗だく。ベテランのアルターガールズも多いので、クラップやコールの一体感に初見だとタイミングを計りかねるところもあるかと思うのですが、キャストさんが煽ってくれる部分だけでも参加してみると楽しいのではないでしょうか。

惜しむらくは映像化もフル音源化(2012年バージョンがシングルカットされています)もないところ。
ブロードウェイの権利問題は非常に厳しいとのことなので、そのへんが関係しているのだと思いますが、こうして言葉を尽くすほかにおすすめの手立てがないのがとても残念です。パンフレットとかブロマイドのビジュアルとステージのビジュアルも違うしね~髪形から衣装から全然違うのですよ!
なので難しいとは思いますが、CD化を決断できていないソニーミュージックの皆さんに拍手でもってプッシュをさせていただきたい!
発売の余地があるのならば、関係者の方には重ね重ねお願いしたいところです。せめて日本語版台本が手元にほしい……

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ALTAR BOYZを初めて見たのは、残業規制はあるので土日のどっちかは休んでて、遅くても終電には乗ってたし、だからこれで辛いと思う自分は甘えてるんだと思っていた現場にいた2014年冬でした。このあと肉体的にも精神的にも更に過酷な現場に投入されていくんですけど。リーダーがペンで塗ったようなどす黒いクマを作っていたのでなおさら……
舞台好きなお友達が、本当にすごい、終わったあとめちゃくちゃ元気が出てコートも着ずに駅まで歩いたって言ってて、私もなにかアッパーになるものが欲しかったので(そのときは本気で迷走していて、毎日なにかしら買ったものが家に届いていた。ウィッグとかオリーブ油とか)休日出勤の帰りに当日券を買って、立ち見で入りました。
本当にすごかった。同じくらいの歳の人たちが衣装の色が変わるほど汗で全身濡らしながら踊って歌って、ストーリーでもパフォーマンスでもチームがひとつになるところを見せてくれる。
いろいろな立場思想があるけど、核になるものがひとつあればわかり合えるという話運びが、本当に救いのように思えて、楽しいのにむちゃくちゃ泣けて、終わった瞬間コンビニに走ってお金を下ろして入れるだけのチケットを買いました。次見られる日が楽しみで歌舞伎町を小走りに帰った。上演中何度も口にされる「大丈夫」のフレーズにどれだけ勇気とエネルギーをもらったか。
今なんだか辛い、苦しい思いをしている人に、ぜひ見てほしいなあと思います。