しづ心なくインターネット

おポエム申し上げます

1704韓国(4/28 ソウル)

起きたら足が痛い、というか全体的に熱持ってる。そして罹患~治りかけラインだった風邪が鼻にきて体調赤ランプ点灯。
わ~……と思いつつどうしようもないのでゆっくり歩く作戦で1日やりすごす方向に。
比較的早起きしたのは平和市場でかばんを見るためでした。

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[入口。すぐそばの建物がバッグ天国です]

かばんが卸値で売っている市場で、無限に同じような店がある。夜-朝営業なので、朝行くとお店の人が結構寝ている。
1FとB1Fを往復しながらよい感じのかばんを探して、ラタンのハンドルバッグと麻のクラッチ、合皮のバケツバッグをお買い上げ。
ラタンのバッグを買ったお店のおばあさんに25000W渡そうとしたら、間違えて20000Wと50000W渡してしまって、「ダメ! しまっときなさい!」ってニュアンスで怒られて返してもらう。ありがと~って何回も言ったらニコニコしててかわいかった。
バケツバッグ、前日にINDIBRANDで40000Wで、かわいいけどたぶん卸にある! と思って買わなかったのとまったく同じのを発見して、天才やな……と自画自賛した。35000Wだからあんまり変わんないけど……
気がついたら3つのかばんを手に持って呆然としていた。ホテルに戻って、一応スーツケースに入るか確認してみたけど全然ダメだった。そこは帰国日の自分が考えることにする。

地下鉄の階段を避けてバスに乗る。
バス乗り場の路線図、地下鉄駅以外はハングル表記のみなのでアプリを入れておけばもうちょっと楽だったかも。
漢江をわたってアックジョンロデオへ。合言葉はスーパー大好き!
ギャラリア百貨店とSSGフードマーケットのプライベートブランドがよいと読んだので行ってみた。
というかソウルの大きめデパート、どこも食料品売り場がおしゃれ。新宿の伊勢丹地下って感じ。

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[ほやが売っていた]

百貨店のデパチカもSSGマーケットも、とても洗練されていて美しいものの、引き続き寒さと疲れでテンションが上がらずどんどん体力がなくなっていく。
気合で歩いてお昼ごはんを食べに入る。
Ba Lat、ハングルメニューしかなくて英語も通じず困ってたら、日本人か? って聞かれて「これはかにこれはうに」ってやや日本語説明が始まった。
ビビンバだけ頼んでもたくさんおかずがついてきて楽しいですね。

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[かに]

食後、眠すぎて歩けない。ということでタクシーでスパレイに行ってもらう。4000Wぐらい。台湾もだけど、タクシー安くてありがたく素晴らしい。
スパレイはセレブも御用達! って見たけど大江戸温泉物語ぐらいの様子。きれいでお値段もほどよいお店が知りたい……
チムジルバン、容赦なく暑い、というか熱い。
アカスリを受けたあと床で1時間近く沈没する。お風呂で身体を温めたのと、床が温かいおかげか起きたら少し楽になっていた。
カロスキルでお茶でも……と思ったけど、胃が元気なかったので、有名なカフェのネオンだけ撮った。

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[チョキ]

明洞に戻って、OLIVEYOUNGでハニーバターアーモンドや、にきびケアパッチなどを手に入れる。
ハニーバターアーモンド、値段はOLIVEYOUNG<ロッテマート<コンビニ。ただ帰国日にはロッテマートと同じ値段になっていたので限定のセールだったのかな。
夕飯は神仙ソルロンタン。ミルキーな味がして胃にやさしい。
水餃子食べたいかもと思って注文したら赤ちゃんのこぶしサイズのものが3つきてちょっと笑う。
窓辺の席に通されたので外の人とバチバチに目が合うのですが、観光客ぽい外国人(私も外国人ですが)が入るかどうするか相談してたので、むやみにおいしそうに食べて招致に貢献した。

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[染みわたりました]

もう疲れてるんだから帰ればいいのにヌーンスクエアのINDIBRANDがよすぎでまた買い物しちゃう。
明洞、3つINDIBRANDあるんですが、ヌーンスクエアのが一番無難ぽい品ぞろえな気がするのと、ワンフロアなので階段上らなくてよくて楽。
気がついたら閉店のアナウンスが流れていて、結局12時間以上外をうろうろしていたことに。

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[花の河]

真っ直ぐ戻ればいいのにDDPでLEDの薔薇のインスタレーションを見て、急にトイレに行きたくなって走って帰る。
ひとり旅のいいところはトイレに行きたいとき思う存分走れるところ……

1704韓国(4/27 ソウル)

今回はひとり旅行。
本当はもう少し遠くへ行きたかったんだけど、5/1と5/2が休めるか謎だったので近場にしてみた。結局休めるっぽかったけど、誰かいたほうがいいよね~ということで、休みをスライドさせて5連休・1勤務・5連休の不思議休み完成。
あんまり値段も変わらないしマイレージ貯めてるし、ここはキャリアで行くぞとエアを予約した翌日に渡航の注意喚起が出た幸先の悪い滑り出し。
お友達の会社の韓国人曰く「政権変わったときのほうが警戒度高かったし普通にGW帰省する」、現地の人のブログとか見ても大統領選挙のニュースしかやってないってことで、なにかあったら迷惑かかるのは家族……と思い、母親に連絡してみた。
「えっ? なんで行くの迷ってるの?」
「あ~ミサイルか~はね返せるでしょ! がんば!」
ぜんぜん心配してない! 渡航決定。

最近はもう免税店も日本で覗くほうが安い……何百円の話ですが。
とはいえ韓国はオンライン免税店が発達していて、謎の割引で爆安になったりするので、オンライン販売なし割引なしのブランドをチェックしておくのがよいという知見を得ました。シャネルとか。

仁川国際空港までは1時間40分。飛行機は平日ということもあってガラガラ。
入国審査もほぼ人がいなくて、荷物取るまで1時間ぐらい。
空港のコンビニでwifiカードとT-moneyカードを買う。
wifiはカード裏のスクラッチを剥がすとパスが書いてあって、入力すると4日間街中で使える。
モバイルルーターの持ち歩きがないのはいいかなと思ったけど、ほとんど繋がらないでやんの……地下鉄移動中は接続よかった。
そもそもソウルはフリーwifiがめちゃくちゃ飛んでるので、なくてもそこまで困らない。
次はルーターかsimを買うことにする。

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[wifiカード]

一般電車で移動。ソウル駅までは50分くらい。
地下鉄に乗り換えて東大門文化公園駅で降りる。駅から2分のホテルを選んで最高! と思ったものの、地下から地上までは階段しかない。そうだった……忘れてたけどソウルの地下鉄はほとんど階段なんだ……帰りはバスに即決定。
地下鉄がまた深いので、移動だけで体力が削れていく……花粉かPM2.5もすごくて、常に鼻がぐずぐずいう。
ホテルはここ。シャワールームの水はけがあまりよくないので誰かと泊まるのはいまいちな感じ。
あとなぜか枕元にコンセントがなくて、携帯を窓辺の机においとかないといけないの割と不便。

チェックインして荷物をほどいたら4時ぐらい。家を7時半に出たので、一番近い国とはいえ移動含めるとやっぱりそれなりにかかる。
ロッテフィットイン~Doota免税店へ歩いていって、VDLのアイプライマーと一本でグラデーションリップができるバームを買う。
ドルも高いしそんな市価と変わらないと思ったけど、ホテルに10%オフチケットがあったので微妙に安くなった? のかな?
バーム、安めのリップにありがちな乾燥がないだけでもう満足です。発色もしっかりで超かわいい。

免税店コスメ、最近はもう日本で買うのが安いので、韓国コスメ中心にざっと見て夕飯を食べに移動。
ひと駅だし歩いて移動だ~と思って散歩がてら歩き始めたものの、やや肌寒かったのと日ごろの運動不足がたたってよろめきながら到着。
チャメチッ、何回か行ったけど3号店は初めて。
1・2号店は細い路地にあってディープな感じですが、3号店は大通りに面していてウッド調の内装で入りやすかったです。
ユッケ丼を食べてユッケは持ち帰って夜食に……と思って注文したらうまく伝わらなくて両方出てきてしまった。
生肉マシマシ贅沢ユッケ丼にして食べました。サービスの牛骨スープが沁みる寒さ。

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[輝く肉]

肉祭りの晩ごはんを終えて明洞へ。レートがよい両替屋さんで1万5千円替える。
空港では1万円当たり98000W、市内だと101000W。もう割と誤差の範囲だ。
STYLENANDAのショップがとてもかわいい。カフェでわたあめが乗ったソーダとかコーヒーが飲めると読んでやや心惹かれつつ、冷えて早く帰りたいモードになってしまい(老い)買い物だけして退店……店員さんもほっといてくれて、韓国のコスメショップには珍しくよい距離感でした。

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[お店のテーマはホテル。超かわいい]

It's Skinで頼まれもののセラムを見ているときに急にお買いものフィーバーが始まってしまい、自分用のセラムを3本とアイクリームとパック……と言われるがままに購入。
INDIBRANDで足がギブを訴えてくるものの、無視してソウル駅のロッテマートへ。
とはいえ疲れてあんまり見る気になれず、水とジュースだけ買って部屋に戻る。やっぱり階段が地獄。
隣のコンビニでハニーバターナッツの小袋売ってたので、大袋買う前の味見がてら食べたら手が止まらなくなって、ハニーバターナッツを食べる機械になった。
ハニーローストアーモンド大好きなんですけど、あの方向性です。
飲めたら楽しいんだろうけど、飲酒すると翌日に響くためジュース飲んで就寝。
一応買ってきておいた足裏シートが活躍。パジャマ忘れてきたのでついさっき買ったTシャツで寝る。ひとり旅でよかった。

2017年上半期個人的に買ってよかったもの大賞

今年は上半期下半期にわけてみようという試み
sueshee.hatenablog.com

■ビオデルマ セビウム H2O
もともとipsaのふき取り化粧水は使ってたんですけど、ブースター? 美容液? みたいな感じでふき取りパワーは弱いなと思っていて、ツイッターでダブルふき取りいいよ~って流れてきたのでやってみた。
ダブルふき取りするようになってからコメドが出なくなりました。もともと肌が強いから、ガンガン拭いてもトラブルになりづらいのもあるんだと思う。
セビウムはオイリースキン用で使うとつっぱり感があるので、すぐipsaのふき取り化粧水で拭く。肌弱い人はマイルドスキン用のほうがいいのではないかと思います。
クレンジングで取りきれない微妙な汚れみたいなのがコットンに残る。あとクレンジング適当にした日はファンデとかリップメイクがしっかり取れる。使ったコットンは洗面所の掃除に使ってから捨てている。
セビウム使うようになってからは初めてipsaで肌のコンサルティングしてもらって、角質の数値50くらいだったのが84に上がってました。100に近いほどいい数値らしいので嬉しい。それ以外はアイクリームと美容液しか変えてないのでたぶんセビウム効果と思います。
ロッテ免税店でクーポン使ったら250mlが9ドルぐらいになった。コスパもよくサイコ~

■IOPEエアクッション ナチュラルグロー
やっぱたくさんの人がいいって言うものはいいんだなあ~と思った。
薄づきなのですがちゃんと塗った感があり、肌呼吸ができる! 崩れとか一切気にしないんですけど(化粧直しもしない)、朝からてかりとは違うツヤが出るので、夕方になってもてかってるのかツヤなのかわからなくて一石二鳥感があるずぼらの救世主。
下地→今まで使ってたクリームファンデをコンシーラー代わりに→エアクッション→フェイスパウダーで仕上げてます。 ナチュラルグローだけだとしみそばかすが少し浮くのでコンシーラーとかBBクリーム挟むとカバーもできて万全の構え。インテンスカバーも使ってみたい。
カラーはN21。いつもファンデ選ぶときは標準色か一段明るい色を使ってるのですが、韓国のファンデってちょっと明るめなので、N23でもよかったかな~
使うときなんとも言えないケミカルな香料のにおいがするので、慣れるまでは辛いと思う。私はセザンヌの下地の匂いがだめで脱落したので、あれよりはいける! 好き好きですね。セザンヌは薔薇っぽい感じだけど、これは原料って感じの匂いです。塗ったあとはまったく気にならないです。

■FREETEL
au使ってたんですが、2年しばり終わって割引なくなってしまうのでMVNO転出しました。携帯代が半額になった! エライ!
昼休みと18時頃はやや通信が遅くなる。その時間帯はtwitterの画像読み込みがすご~いゆっくりになる感じです。 携帯メールがなくなってしまうので、メール受信をいちいちプッシュでチェックしないといけなくて(設定変えたらいけるのかも。面倒でこのまま)、不便なことがあるかな~と思ったんですが、今のところ特にないです。
固定プラン8GBで使ってますが、LINEとtwitter分の通信料無料なのでもっと下げてもいける気がする。 無料通話分の付帯がないので、ほとんど電話しなくてキャリアメール使わない人にはおすすめです。
MVNOの会社選び、どれも一緒だろ~と思って決め手に欠けたので、私が選んだ基準を書いておくと、通信が速いと評価されていること、twitterとLINEの通信料が無料扱いであること、店舗で即日開通できることでした。

■Anglink 珪藻土バスマット
泊まった先で使って、足の裏がシトっ……として気持ちよかったため導入。
すぐ乾くので衛生的で今の時期にもよろしい。水が足型に染みて、スイ~っと乾燥していくのを見ると楽しい。

イトメン チャンポンめん
amazonだとなんでこんな高いのかな!? ふつうにスーパーで買ってください
すごいあっさりしてて、なに出汁とも言い難い……海鮮かな……優しい味わいなので胃弱のみなさんにお勧めいたします。
私がよくやるのはラーメン鉢に酢をドボドボ入れて、キャベツの千切りを山盛り下に引いてその上からスープと麺をかけてねぎ油垂らして食べるやりかたです。極めてうまい。

Thrill me(2017韓国版)観劇メモ

できるなら記憶を消してもう一度観たいミュージカルナンバーワン。
エア手配の翌日に渡航注意が出て青ざめたりしましたが行ってきました。
チケットはインターパークで。YES24も試したけどうまく登録できず。
3月末、そろそろ観にいっとかないとな~来週とかどうかな~って余裕こいて残席チェックしたら、週末はかなり先までチケットなくてヒヤッとした。
1時間くらいリロードしまくったら今回取った席が出てきたので慌てて予約。

会場はベガムアートホール、COEXと同じ三成駅から歩いて5分くらい。ABCホールのようなこぢんまりしたサイズ感。
チケットボックスで予約メールを見せたら紙のチケットを渡してくれました。
セットも日本で見たのとほぼ同じ。銀劇では木の柱が立っていた気がする。
裁判所のときのライティングは、日本では「私」に四角く切り取られたスポットが当たっていたのですが、韓国では普通の円スポットでした。

1924年のシカゴで起きた実際の犯罪「レオポルドとローブ事件」を下敷きに書かれた、もとはオフブロードウェイの演目。
誘拐殺人の罪で30年近く模範囚として服役した「私」は、仮釈放の審議会にて、共犯の「彼」との間に何があり、どういう経緯で犯行に及んだかを陳述します。
まだ20代だった「私」と「彼」はそれぞれ裕福な家に生まれ、幼馴染として育ちました。周りの人間を見下し、ニーチェの超人主義に傾倒している「彼」は、自分の優越性を社会へ証明しようと犯罪に手を染めるように。「彼」に心酔している「私」は、「彼」の計画に関わり、最初は廃屋への放火や窃盗などの軽犯罪、そして児童の誘拐殺人をきっかけに逮捕へ。
出演者は「私」と「彼」のみ、男性俳優の濃密なふたり芝居。セットもシンプルで、大掛かりな転換はありません。劇伴は生ピアノ、以上。客電が落ちるとまずピアニストの方が、舞台上手の高い場所へ設置されたアップライトピアノへ。生演奏という公演ごとの一回性と、全体的にテンポ速めの曲目に、いやでも高まる物語の緊張感。
不要なものをとことん削ぎ落とし、韓国版と、それを基にした日本版では役名すらない、生々しい感情のぶつかりをじりじり見守る90分です。実際の殺人シーンは描写されることがないので、血や暴力表現がダメでも見られると思います。

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今回見たのは「私」がカン・ピルソクさん、「彼」がイ・ユルさんの組み合わせ。
カン・ピルソクさん、お顔が小さ~い……鼻筋がすうっと通っていて、なのに鼻先が丸いのがあまりにチャーミング。
童顔で穏やかな雰囲気で、本編でめがねをかけて出ていらしたときはどこか神経質な印象を受けました。紺スーツで銀行員ぽかったせい?
イ・ユルさんは男性的な外見で、ピルソクさんとほぼ頭ひとつ分の差があった。前髪を上げていらしてブラウンのスーツで、スタイルばつぐんでした。腰の位置が高い!
今回の「私」は品よく知的、「彼」は厭世的な意識高い系大学生という感じ。
日本で見たのは尾上松也さんと柿澤勇人さんのペアで、そのときは「私」のほうが背が高くて、穏やかで頭の回転が少しゆっくりめ(その役作りが後半でめちゃくちゃ効いてくる!)/「彼」が細身で神経質で若さと全能感に満ち溢れていて、という感じだったので、ペアによってまったく印象が変わってくる話だなと思います。

もう結末を知ってしまっているせいか、ピルソクさんの「私」は最初からどうしようもなく悲しい空気を纏っているように思えました。ふたりでいる時間を無邪気に楽しむだけではいられない、「彼」を自分だけのものにするにはどうしたらいいのか、いつも少しだけ考えているような「私」。
廃屋にガソリンを撒くとき、子どもを誘拐してきて殺そうという「彼」に賛成するとき、「私」が抱えた悲愴さが炎のように垣間見えます。「彼」に絶対的に賛成の立場じゃない、自分たちのやっていることが関係者に与えるダメージをきちんと認識できる、それでも「彼」へ寄り添ってしまう苦悩。やっていることは犯罪だし、動機も利己的なんですけど、あえて辛い道を選ぶ殉教者のような清潔さ、気高さがある。
ただ、「私」は確かにそれを喜んでいる。罰されるかもしれない、罰されたいというマゾヒスティックな欲望が、虫も殺さぬような顔をした「私」が熱望しているスリルだったのかなと思います。
「彼」は、放火や強盗で一瞬楽しそうな顔を見せても、すぐにつまらなそうなつんとした表情に戻ってしまう。なにをしても満足できない心を煽り立てるように犯罪へ走り、キスやそれ以上のことまで共犯契約の対価として使ってしまう捨て鉢さ。お前がいないとだめなんだと歌い、犯罪の観客として「私」の目を必要としながら、本当は自分自身にも興味がないように見える「彼」。
反対に「私」からは、自分の中へ閉じていく強い自己愛を感じました。「彼」に対して一般的にいう性愛があったのかすら危うい。尾上柿澤ペアの「私」は、「彼」がいなくなったら死んでしまうような個人への執着がありましたが、ピルソクユルペアの「私」が求めていた「彼」は、あくまで理想としての存在で、肉体として必要としているかというとまた別のような。
「彼」を自分のものにしても「私」が満足することはなく、どちらかというとまた奪われることに喜びを感じていそうな「私」という私見です。

セリフや歌詞を理解しながら観たらまた印象も変わりそう。
韓国語はさっぱりなんですが、日本版観たことあるしOSTスピードラーニング効果で大筋はわかるという感じでした。
共通した発音の単語もあるから、A Written Contractで「ケヤクソ」って出てくる度にハッとした。契約書!
男ふたりの情念が煮詰まっていく過程と、その末に待っている爆発には、韓国語の激しい響きがまあよく似合いますね。

最初のキスシーン、「彼」のほうが上背あるのでどうするのかなと思って見ていたら、長い脚をかがめるでもなく顔だけ傾けて掬い上げるようにいったので、頭がおかしくなった。
そのときは応えるように顔の角度をつけていた「私」が、「私」をなだめすかそうとして「彼」がするキスを拒むときは、そっと顔を背けることで成立させなくするの、シーンの対比として鳥肌ものでした。

とにかくピルソクさんがラブリーだった。お顔もコメディシーンの演技も。
「彼」を待つシーンでニコニコそわそわチョロチョロしているところとか、A Written Contractの前、寝るからって言う「彼」に膝枕してあげる! って膝をポンポン叩くところとか、スイートすぎてオペラ覗きながら半笑いになった。
一変して、Everybody Wants RichardとかMy Glasses/Just Lay Lowの激した表現もよかったなあ……ソフトな見た目なのに声量あるし音も外れない。迫力ありました。

カーテンコールでは半分くらいがスタンディングオベーション。最終日というわけでもないのにあの熱狂は演目だからなのか、もともとの観劇スタイルがああいう感じなのか。
客席にお辞儀をされる演者さんへ、拍手に加えて声援で応えるのも日本とは違って新鮮でした。

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渡航目的の大きなひとつ、マグカップ。iPhoneケースもかわいかったんだけど私のiPhoneは残念ながらSE。
グッズもカードで買えるのすごい。

pokos.hatenablog.com

チケットの取り方、上記を参考にさせていただきました。ありがとうございます!

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"勝者と敗者" 観劇メモ

舞台版ハイキュー1作目を見たときの高揚が今でも忘れられない。
アンケートは表面だけで足りなくて裏面にもびっしり書いて出したし、アイアから渋谷駅へ下っていく道を元気よく歩きながら譲渡を探しまくった(歩きスマホはやめましょう)。
2.5次元の新しい幕開けを見た! と大興奮した、そんなハイステももう4作目。今回もなんとかチケットのご用意に成功して観にいきました。

回転する機構を備えた八百屋舞台は健在! 照明を仕込んだ2代目になったとのこと。前回を最後になくなってしまうというのを見て残念だったのですが、外観はほぼそのままにバージョンアップしていたので嬉しい。
TDC未訪なので梅芸で見た感想ですが、すこんと天井の高いアイアに映えるセットだったろうなと思います。
特に上階から見下ろすと舞台上部が視界を遮って圧迫感があったので、2階前列よりは1階後列で見上げるほうが好みの視界になりそう。背景の映像パネルも見下ろしだと、照明でやや白飛びします。
今回はせりあがる足場やフライングで空間を縦に使う演出がたくさんあり、視覚の情報量が多くて、いい意味でどこを見たらいいのかわからなくなった。ウォーリーを探せを見ているような気持ちになりました。目が最低4つぐらいほしい。
青城のメンバーそれぞれが白い布を手に出てきて、それを小さいスクリーンに見立ててバレーボールを投影するの、立ち位置や投影がちょっとでもずれたら目も当てられなくなってしまう演出に挑んでいくのが最高。
そして幕代わりのスクリーンに大写しになる遊馬及川さん……私も梅芸大ホールの舞台いっぱいに顔が写ったことがある人になりたい! サマージャンボ当たったらやります。 

照明がかっこいい! 1作目見たとき知人にそういう話をしたら、照明作り業界では超有名なスタッフさんだと教えてもらいました。
今回は舞台自体、床も壁面も一体になってびかびかに光るのでMステじゃん! って思った。試合中、ボールが光で表現されてレーザービームみたいに床を横切っていくのがきれいだった。

ハイステ、歌わないけどミュージカルっぽいと前から思ってて、リプライズ曲が多いからだというのを思いつきました。
調を変えたり、これまではメロディだけだったエンディングに歌詞がついたりと、同じ曲がアレンジされていろいろなシーンで流れるの、脚本自体も印象的なシーンを繰り返す構成なので相性がいい。
もともと和田さんの曲が好きで、和田さんが音楽担当なら外れないでしょ! と思って1作目のチケットを取ったので(見終わった後のアンケートもサントラ出してくださいって3回ぐらい書いた)、今回も大満足。
青城は管弦メインで優位チームの余裕めいた軽やか華やかな編曲なのに対して、烏野はパーカスと低音ゴリゴリの荒々しいアレンジで、ダンスもバレエ風・群舞のように揃った振りつけの青城、ジャズダンス・ヒップホップやハカを思わせる動きの烏野と、耳・目でも対比がわかりやすいつくりで楽しかったです。
舞台って総合芸術なんだなと、ハイステを見ると毎回改めて思います。

気になったのは説明的な演出が増えたことで、セリフやト書きが背景に投影されたり、フライングなどでカンパニー側が伝えたいメッセージがわかりやすい反面、もう少し観客の想像の余白があってもよいのではないかなというのが個人的な感想です。「その夜」って文字で説明されなくても照明が暗めになって虫の声が聞こえれば夜だなってわかるし。
コメディ要素と回想も多くて、試合の流れに集中しきれず……ギャグで気持ちが緩みすぎてしまって、感情の動きにうまく乗れなかった。
とはいえ、見る前はほぼ3時間!? 3章立て!? と尻へのダメージを思ってぞっとしていたんですが、気がついたらカーテンコールで、テンポのよい展開ありがとうという思いです。
なにより実際の試合と同じ3セットを、一般的な上演構成の2幕に凝縮しないで見せるというのに意味があったのだな……
でもやっぱり平日に22時過ぎて終わるのは、家遠い人はおつらいでしょうね。実際本編終了時点で退席していった人多かった。梅芸、駅からちょっと距離あるし……

「セッターへようこそ」が今回イチで好きなシーンです。
オーケストラとバレーボールの試合というまったく異なる分野のものが、あのシーンで融合して、なんというか宇宙を感じた……
烏野ではみんなのためにバレーする、バレーを手段にするのが正道で、自分が好きなバレーをしたいと思うこと、目的化するのは邪道寄り。
それに自覚的なのが覚醒前月島、無自覚なのが今回までの影山だと思うのですが、スガさんと研磨の人のためにバレーをする組がタクトを振って、影山が自分の手でゲームメイクする有機的な喜びに目覚める瞬間が描かれていたの、すごくよかった。
異分子の融合で爆発力が生まれるのをダブルで表現した、とても気持ちのよい話と演出でした。
あと、手をつないで重心を外にかけながらゆっくり回るシーン(上手い表現が思いつかない……)が好き。
初演・再演だと日向と影山が町内会との試合でやってたり、今回だと影山と及川がやったのが印象に残ったのですが、影山及川ペアは及川が影山より優位で振り回すような感じ、日向影山ペアは絶対的な信頼を感じられる安定した動き。
いろいろな組み合わせのペアが同じ動作をすることで、それぞれの違いが浮き上がって見える、面白い演出だと思いました。これもリプライズ。
どちらかが手を離したら転ぶような危ういモーションを、舞台という絶対にやり直しできない場所でやること、めちゃくちゃ緊張感があるし、見るといつも涙が出る。

体を上手に扱う人たちだな~と思うのは木村達成さんと音駒ペア。
永田崇人さんは立ち方から猫背で役柄そのもの、「演じている」「段取り」感が伺えない。近藤頌利さんはジャンプのときの高さと滞空時間の長さ、背筋のしなりが美しくて、音駒ふたりのシーンは、他2チームより半分以下の人数なのに存在感がすごい。
シンクロ転回や、ただ動き出すだけでも妙にゆらっ、ぬめっとした動物っぽい動き、コンテンポラリーダンス見に来たんだっけ? という気持ちにさせられる。
セッターの働きを指揮者にたとえて各校セッターが指揮をするマイムがあり、木村さんがあまりに体に馴染んだ動きをされていて(音楽未経験者の感想です)、体をコントロールすることとリズム感にものすごく長けた方なんだろうなと思った。そのあとパンフの「誰にも負けない! というものは?」という質問に「運動。できなかったアクションも運動もない」って答えてるの読んで頭がくらっとしました。かっこいいです! かっこいいです!
今回おおっと思ったのは秋沢健太朗さん。感情を観客へ届ける表現がめきめきうまくなっておられるなと思います。再演で初めて拝見したときは、声と迫力でモップが倒れる! というシーンで「演出なのでモップが倒れました」という感じだったのですが、回を重ねるごとに部長らしい説得力が備わっていって、今作の試合が終わって日向を抱え起こすときの「謝るな」の威厳と、そのあと負けた悔しさを抑えて後輩を優しくねぎらう声の落差がとてもよかった。2.5次元の面白いところ、キャストを定点観測することができる部分で、その面白みを感じさせていただいたことに対する感謝のブロマイド購入をした。

今回、初回を見たとき感じた「板の上で漫画をしている」感が薄くなってきたように思いました。
舞台版ハイキューを見たとき、「この人たちは舞台で漫画を再現しようとしている(のでは)」と思って鳥肌が立つほど感動したのでした。原作ベースで舞台をするのではなくて、舞台を原作に近づけていこうとしている結果の止め絵のようなラストシーンだったり、漫画のコマを使ったキャストパレードだったりがとても新鮮だった。
徐々に舞台オリジナルの要素も増えていて、舞台として独立したコンテンツになっていくのかなと思います。ハイステとしても、原作の区切りとしても大きな章がひとつ終わったんだなと感じました。
限りなく2次元に近かったハイステが、4度の舞台を経て3次元へ近づいていく。
次はどういうふうに驚かせてもらえるのか期待しかないし、次回も絶対にチケットをご用意してもらう。

 

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